Q1 就業規則を10年前から変更していないのですが問題はありますか?
就業規則は、労働基準法により、常時10人以上の労働者を雇用する事業主に、作成と、労働基準監督署への届出が義務付けられています。
10年間には、就業規則の内容に関係する法律が改正されていることがあります。
また、会社も労働者数の増減等、労働環境が変化しているはずです。
就業規則は、実態に合わせかつ最新の法令に沿った見直しを定期的に行うことが必要です。
労働者の安心にもつながり、生産性の向上やトラブルの未然防止など多くのメリットを享受することができます。
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Q2 労働契約は書面に残しておく必要がありますか?
会社・労働者にとって重要な労働条件(賃金や労働時間など)は、労働者に対して書面で明示することが労働基準法上義務付けられています。
賃金以外については、就業規則を作成して労働契約の書面交付に替えることもできますが、パートの方に対して別の条件を設定する場合等については別途の書面が必要ですし、労働条件を変更した場合には書面内容も変更することを忘れないようにしてください。
また、トラブル防止のためにも、書面の交付の際には、労働者への説明をしっかりと行ってください。
労働契約書のサンプルを無料で進呈致します。
必要な方は、弊センター宛てご連絡ください。
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Q3 能力不足を理由に解雇されました。仕方ありませんか?
労働契約法でも定められていますが、解雇権の濫用か否かが問題となります。
解雇にあたっては、まず、就業規則にどのようなケースが解雇に該当するかを具体的に記載しておくことが必要です。
仮に就業規則の解雇事由として勤務態度の不良や能力不足との規定があったとしても、
労働者に①改善の機会を与えること②労働者の改善努力の経過を評価することが必要ですし、③著しい能力不足を客観的に判断できなければなりません。
上記要件を満たしているのか否かについては、専門の機関等にご相談されることをお勧め致します。
弊センターでも、解雇についてのご相談は日々多く寄せられております。
解雇権の濫用についてご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。
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Q4 残業代の支払いが不要な【管理監督者】の判断基準について教えてください。
労働基準法では、管理監督者に時間外・休日手当を支払う必要がないとされていますが、
例えば、就業規則等で課長以上を管理職と規定している場合であっても、課長以上の役職者には全て支払う必要がないことを意味しているのではありません。
ポイントは、会社における【管理者】と労働基準法上の【管理監督者】は異なるといった点です。
※管理監督者の主要件
①経営者と一体的な立場として重要な職務と責任をもって業務を行っている。
②給与や役職手当等によって、その地位にふさわしい待遇を受けている
管理監督者は、休日や残業手当については適用除外になりますが、深夜の割増賃金や有給休暇は通常の労働者と同様に適用となる点にご注意ください。
管理職=管理監督者になるかの判断は非常に難しいものがあります。
いわゆる名ばかり管理職とならないよう、専門家にご相談下さい。
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Q5 営業時間の延長を検討していますが、注意する点はありますか?
労働者にとっては労働時間が長くなり、労働条件が低下することになります。
いわゆる労働条件の不利益変更に該当します。
売上げUPのつもりが、労働者のモチベーションの低下や、職場のトラブルの原因となっては、結果的に売上げ低下のリスクを招いてしまいます。
労働条件の不利益変更を行う場合には、休日の増加や賃金UP等、対応する対策+事前に労働者に対する十分な説明を行い、想定される経営リスクを回避することが大切です。
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Q6 退職が決まっている者の有給の消化と引き継ぎについて聞きたいのですが。
退職を申し出た労働者が、残っている年次有給休暇を全部取得して辞めたいと言っています。引継ぎの期間が確保できないために業務に大きな支障が生じるのですがどうしたら良いのでしょうか?
といったご相談を多くお受け致します。
このような問題に対しては、法令や就業規則等のみでは解決できない部分もありますが、実務的には、以下のような手段が考えられます。
○協議の上退職日を本人の希望よりも後の日にして、引き継ぎ期間を確保する。
○所定の休日に出勤命令を出して、業務の引き継ぎの日を確保する。
会社としては、有給休暇の取得を拒んだり、引き継ぎのためといった理由で出勤を一方的に決定するなどといった対応をとらずに、誠意を持って協議に臨むことが得策でしょう。
今後の同様のケースに備え、自己都合退職の場合の申し出は現在より早い期間に設定するなど、制度の見直しも必要かもしれません。
雇用における様々なリスクを想定し、事前に対策を講ずることができるツールのひとつとして就業規則が挙げられます。
ニーズに沿った形式で、見直し等についてご相談をお受け致しております。
費用等に関しましても、お気軽にご相談いただければ幸いです。
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Q7 病気により長期間休職している場合の休職・退職・復職等について教えてください。
労働者の欠勤が長期に及ぶ場合に備えて、就業規則に休職規定を盛り込み、休職の基準を明確にしておくことが必要です。
例えば、数日から数週間の労務不能の状態は通常の欠勤扱いで処理し、欠勤が長期に及んだ場合には休職の取扱いにするなどです。
休職は、労働者から申し出があった場合に手続きをとることもできますが、休職の基準に該当した場合は会社から休職命令を出すといった形式が一般的にはスムーズかつ明確です。
昨今話題に上ることも多くあるメンタルヘルスの問題は、非常に難解です。
うつ病などの精神的な疾患を抱えた労働者の復職の判断はかなり慎重さを要する問題です。
本人や主治医が復職可能と判断した場合であっても、慎重に対処した方がよいでしょう。
なお、復職の判定基準については、会社の考え方を明確に就業規則に明記しておくことが必要です。
休職の原因となった疾病等が、業務に関係する場合には、私傷病の取扱いとは異なり、休業期間及びその後30日間は解雇することができないことには注意が必要です。
以上が一般原則ですが、実務上は個々案件に対しそれぞれ対応が異なります。
トラブルの防止のためにも、ご不明な点は専門の弊センターまでお気軽にご相談ください。
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Q8 契約社員(1年ごとの更新)に関して、適正な管理について教えてください。
職場のトラブルの中で、最近増加傾向にあるひとつに、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の更新や雇止めに関する問題があります。
有期労働契約の更新や雇止めについては、労働契約の締結に当たっては、契約の更新の有無を明示する必要等がありますので、明示義務やその方法等については、弊センター宛てお気軽にご相談ください。
※雇い止めとは
期間を定めた労働契約において、期間満了時に事業主が契約の更新を拒否すること。一時的・季節的など仕事により期間が定められている場合を除いて、1年ごとの契約更新により雇用される有期契約労働者は、1年を過ぎて実質的に労働を継続している場合、明示的に契約を更新しなくても黙示の更新がなされた労働契約者とみなされる。事業主は、やむを得ない事由がない限り、一方的に解雇できず、解雇した場合は解雇権乱用法理の類推適用により無効となる。
また、契約の更新をしない場合にも、無効とならないよう要件を満たす必要があります。
ご不明な点は、専門の労使トラブル解決サポートセンターまでご相談ください。
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Q9 パート労働者に関しては、正社員と異なる取り扱いになるのは当然でしょうか?
職務の内容が正社員と同一であったり、期間の定めのない雇用契約や常に契約の更新をしており、雇用期間を定めていない実態にある場合や、
正社員と同様の配置転換があり得るパート労働者は、パート労働者であることを理由に、賃金や福利厚生などの待遇について、正社員と差別することを禁止しています。
パートの方が多い職場では、パート労働者を対象とした就業規則の作成が必要でしょう。
作成や既存のものについてのチェックなどをご希望の場合には、お気軽に、労使トラブル解決サポートセンターまでお問い合わせください。
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Q10 突然の異動命令がありました。事前に何の説明もなかったので納得がいきません。
職種の変更を伴う配置転換をする場合には、基本的に労働者から同意を得ることが必要になります。
必ずしも同意がないと配置転換ができないかというとそうでもありません。
会社の効率的な運営に支障をきたす等正当な理由のもと、個別労働契約で、配置転換があり得ることを通知しておくと共に、就業規則にもその旨の記載があれば認めれるケースもあります。
但し、職務内容を限定している場合や勤務地が限定されている場合のように、条件付きでの労働契約では、必ず労働者の同意を得なくてはいけません。
また、雇用の維持・継続を第一と考えての配置転換の場合には、会社側から説明を十分に受け納得したうえで、
従前と賃金や労働時間等、労働条件に大きな差がでないことを確認したうえで、契約変更の手続きを進めてください。
会社側の一方的な都合により、また、話し合いの機会も十分に確保されない等の場合には、労使トラブル解決サポートセンターまでご相談ください。
※出向とは(上記の配置転換と似ていますが異なります。ご参考にご覧いただければ幸いです)
企業の人事異動の一つであるが、企業の外に向かって行われる点で、同一企業内での就業場所または職務の変更にとどまる配置転換(配転)と異なる。出向には、自己の雇用先(出向元)の従業員の身分を保持したまま、通常は休職扱いとなって別の企業(出向先)で就労する在籍出向と、雇用先の従業員の身分を喪失する移籍出向(転籍または転属ともいう)とがある。
出向は、法人格を異にする出向先で労務を提供するものであり、労働条件に重大な変更を伴うため、原則として業務命令で一方的に行うことはできない。
移籍出向の場合、現在の勤務先を退職して出向先と新たな労働契約を締結することになるので、出向する際に労働者の個別的同意が必要である。
在職出向の場合も、判例では労働者の同意その他の根拠が必要であるとされている。
この同意は、採用時の明示(=同意)と共に、就業規則の一般的・抽象的な規定では足りず、直接的で明白な規定がなければ出向義務は生じないとされている。但し、業務上の必要性や人選の合理性を欠いていれば、当該出向命令は権利の濫用として無効になるケースがある。
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Q11 採用内定の取消しはどのような場合に認められますか?
最高裁判所は、採用内定通知は契約申込みに対する使用者の承諾にあたり、その時点において労働契約が成立していると解するのが相当であると示しています。
したがって、採用内定の取り消しは、一般的に労働契約の解消にあたり、解雇することとほぼ同じ意味になります。
つまり、内定取り消しの理由が、客観的に合理的な理由として社会通念上相当として認められる場合か否かということが重要な論点になります。
内定の取消しに解雇予告手当は不要ですが、正当な理由なく取り消すと、損害賠償の対象となるケースもあります。
ご不明な点は、専門の労使トラブル解決サポートセンター宛てお気軽にご相談いただければ幸いです。
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