1.セクハラについて
一般の受忍限度を超えるような性的嫌がらせがあった場合は、加害者に損害賠償請求を行うことができます。
この場合に、加害者が同じ会社の社員である場合には、会社に対しても使用者責任を問うことができます。
また、セクハラがひどく、精神障害等を被った場合には、労災保険の給付の対象となる場合もあります。
[ご参考資料]
◆「心理的負担」を重く評価
職場でのセクハラにより発症したうつ病などの精神障害の労災認定について、専門家でつくる厚生労働省の分科会は、新たな認定基準の案をまとめました。
直接的なセクハラについては被害者の心理的負担が重く評価され、労災認定されやすくなります。厚生労働省では、年内にも都道府県の労働局に通知をする予定です。
◆労災の認定基準とは?
精神障害の労災認定は、その原因となった職場の出来事を心理的負担が強い順に「3」~「1」の段階で評価したうえで、個々の事情も勘案して判断しています。
現在、セクハラについては原則として中間の「2」とされ、特別の事情があれば労働基準監督署の判断で「3」に修正可能ですが、判断基準は「セクハラの内容、程度」とあるだけで、修正例は少ないようです。
◆セクハラによる労災の新基準
新基準では、どのようなセクハラなら「3」や「1」に修正されるかの例示を行っています。
「3」に修正される具体例として、「強姦や本人の意思を抑圧してのわいせつ行為」、「胸など身体への接触が継続した」、「接触は単発だが、会社に相談しても対応・改善されない」、「言葉によるセクハラが人格を否定するような内容を含み、かつ継続した」などの事例を挙げ、該当すれば「3」と判定すべきとしました。
この他、長期的に繰り返されるセクハラ行為が少なくないことから、対象疾病の評価期間を、従来の「発症前6カ月」よりも前の部分も評価する等の意見も盛り込まれています。
さらに、セクハラに該当する行為は、場合によっては刑事告訴の対象ともなります。
セクハラでお悩みの場合には、その行為自体を規制するために調停や労働審判を積極的に活用しましょう。
なかなか人には相談しにくい問題ですが、勇気を持ってご相談下さい。
弊センターでは、個室でお話をお伺い致しますし、女性スタッフもおりますのでご安心のうえご相談いただければ幸いです。
2.パワハラについて
もちろん、上司の叱責=パワハラということではありません。
職場のパワーハラスメントとは、
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
※上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。
と定義されています。
また、厚労省のワーキンググループは、職場のパワーハラスメントの行為類型を以下の通り挙げております。
※但し、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではありません。
【具体的行為】
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求
(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求
(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること
や仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
また、同機関が発表した報告書によりますと、
この問題を予防・解決するための労使の取組については、まず、企業として職場のパワーハラスメントはなくすべきという方針を明確に打ち出すべきであり、対策に取り組んでいる企業・労働組合の主な取組の例と、取り組む際の留意点は以下のとおりとされています。
予防するために
○トップのメッセージ
○ルールを決める
○実態を把握する
○教育する
○周知する
解決するために
○相談や解決の場を設置する
○再発を防止する
行政は、
・問題の現状や課題、取組例などについて周知啓発を行うべき。
・併せて、この問題についての実態を把握し、明らかにするべき。
とされております。
さらに、上記定義が発表される以前については、パワハラに該当するか否か判例等より以下のような判断基準が採用されておりましたので、併せてご確認いただければ、より具体的な判断が可能となります。
① 業務上の必要性
叱責等が、業務上の必要性を超えているか否か
②動機・目的
叱責等とは名ばかりで、客観的にはいじめだと認められるか否か
③ 不利益の程度
叱責等の程度が、一般的な範囲内にあるか否か
叱責等が業務改善を目的としている場合には違法という判断は難しく、また、上記の判断基準からもお分かり頂けるように、従業員の主観的な感覚等は、重要視されません。
以上がパワハラについての定義等となりますが、
仮に、パワハラに該当するとなった場合には、行為者本人に自覚させ行為の差し止めを請求することが、まず最初にご検討いただく内容となります。
さらにケースによっては、損害賠償の対象となる事案もございますので、
「会社にやパワハラを行った上司に対して一矢報いたい」・「新しい職場でのスタートを切りたいと考えている」等、パワハラ行為の差し止めや損害賠償請求に関する具体的な解決法等について、
いつでも、弊センター宛お気軽にご相談いただければ幸いです。
3.セクハラ・パワハラについてのQ&A
以下、弊センター宛て多く寄せられるご質問を掲載致しております。
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Q1 性的な言動全てがセクハラとなりますか?
Q2 セクハラは犯罪とならないのですか?
Q3 セクハラの効果的な予防法について教えてください。
Q4 セクハラについての事業主の責任について教えてください。
Q5 セクハラが起こってしまいました。どのように対応すれば良いのでしょうか?
Q6 セクハラをした従業員に対しての制裁について、注意点を教えてください。
Q7 職場でのパワハラの弊害はどのようなものですか?
Q8 パワハラの自覚がない場合の対処法は?
Q9 パワハラだと言われずに上手くやっていくコツはありますか?
Q10 相談したいのですが、女性スタッフや個室での対応は可能ですか?
【クリックしていただけますと、各項目にジャンプします】
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Q1 性的な言動全てがセクハラとなりますか?
職場のセクハラについては、性的な言動を原因として、労働者が不利益な扱いを受ける、又は労働者の就業環境が害されるという結果が伴うことが要件となります。
セクハラには2つの類型が定義されており、ひとつは【対価型セクシュアルハラスメント】、もうひとつは【環境型セクシュアルハラスメント】といいます。
※対価型セクハラとは・・・
職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否・抗議等)により、解雇、降格、減給等の不利益を受けること。
例:
○事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、当該労働者を解雇すること。
○出張中の車中において上司が労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、当該労働者について不利益な配置転換をすること。
○営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、当該労働者を降格すること。
※環境型セクハラとは・・・
職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。
例:
○事務所内において上司が労働者の腰、胸等に度々触ったため、当該労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
○同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、当該労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
○労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、当該労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。
セクハラの態様は様々です。
その判断に当たっては、個別の状況を斟酌することや、労働者の主観ばかりでなく、平均的な感じ方を基準とすることが適当でしょう。
セクハラに該当するのかどうかお悩みの方は、お気軽に専門の弊センター宛てご相談ください。
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Q2 セクハラは犯罪とならないのですか?
一般的には、セクハラに該当する行為の中で、特に悪質なものについては、強姦や強制わいせつ罪、誹謗中傷であった場合には名誉毀損罪や侮辱罪、痴漢行為であれば、公然わいせつ罪、わいせつな画像を常時パソコン等に表示した場合は、わいせつ物陳列罪として刑法に抵触することになります。
また、セクハラに関する訴訟の多くは、不法行為による損害賠償請求や精神的苦痛に対する慰謝料請求、事業主等に対しては、法人の不法行為による損害賠償請求、債務不履行に基づく損害賠償請求、使用者責任に基づく損害賠償請求など民事訴訟(金銭的な解決)となっています。
このように、ケースによっては、刑事責任・民事責任を追及することが可能です。
疑問やご質問は、お気軽にご相談ください。
会社の都合で賃金カットや、各種手当てを削減するなど、不利益変更を行う事は原則として禁止されています。
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Q3 セクハラの効果的な予防法について教えて下さい。
事業主が講ずべき措置に関しては、以下をご参考にしてください。
トラブルの未然防止が最も大切です。
①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
職場におけるセクハラの内容・職場におけるセクハラがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発する。
セクハラの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
②相談(苦情等含む)に適切に対応するための必要な体制の整備
相談窓口を設置し、その担当者が広く相談に対応し、内容や状況に応じ適切に対応できるようにする。
③事後の迅速かつ適切な対応
事実関係を迅速かつ正確に確認し、確認が取れた場合は、行為者及び被害者に対する措置を適正に行うこと。
さらに、再発防止に向けた措置を講ずる。
④上記①~③と並行し実施するべき項目
相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発する。
具体的な実施の方法等に関しましては、弊センターの専門相談員が対応させていただきます。
お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
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Q4 セクハラについての事業主の責任について教えてください。
実際にセクハラが起こってしまった場合には、迅速かつ適切に行為者・被害者への対応を行う必要があります。
男女雇用機会均等法に基づき、セクハラについて事業主が適切な対策を講じず、国からの是正指導に応じない場合等には、企業名公表の対象となります。
また、Q2でも触れましたが、事業主には使用者責任があるため、雇用する労働者がセクハラを起してしまった場合、労働者と共に損害賠償請求の対象となる可能性があります。
なお、この使用者責任については、免責規定がありますが、使用者側に立証責任があり、実務上は使用者の抗弁はほとんど認められていません。
問題が発生してからのひとつひとつの対応が、その後の展開を大きく左右することとなります。
対策法等については、専門家等にご相談いただき、適正な内容となるよう丁寧な対応が必須です。
対応を誤ると、企業イメージのダウンや社会的信用の失墜、また、労働者のモラール低下等多くのマイナス面が想定されます。
弊センターでは、数多くのご相談をお受け致しておりますので、様々なケースに対応が可能です。
お気軽にご相談ください。
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Q5 セクハラが起こってしまいました。どのように対応すれば良いのでしょうか?
まず、迅速かつ適切な対応が必要となります。
そのために、普段から対応マニュアル等を整備にしておく必要があります。
セクハラがあった事実を把握していながら、放置したり、個人間の問題として当事者に問題解決を委ねようとするなど対応を誤ると、
被害の拡大や再発、訴訟へ発展等大きなリスクを伴います。
先にも述べましたが、セクハラ問題は、企業イメージのダウンを招くばかりでなく、企業としての社会的信用を失うことにもなりかねません。
なお、セクハラの問題は、調停による紛争解決を図ることができます。
弊センターでは、調停について代理を行い適切な対応につきサポートさせていただきます。ご安心のうえお任せいただければ幸いです。
1 迅速で正確な事実確認
2 事実に基づく適正な対応
3 再発防止への対応
といった順で解決を図ることとなります。
それぞれの段階で、重要なポイントがありますが、これは、個々内容により異なります。
ポイントについて聞いてみたいという方は、弊センター宛てお気軽にご相談ください。
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Q6 セクハラをした従業員に対しての制裁について、注意点を教えてください。
適法に制裁を行うためには、就業規則や就業規則に基づく服務規律、懲戒規律等で、懲戒事由となるセクハラに係る性的な言動、制裁の種類等を規定しておく必要があります。
また、懲戒処分に当たっては、セクハラの程度に応じ、他の懲戒理由との均衡を図りながら慎重かつ公正に行う必要がありますので、規定があれば、その内容にかかわらずどのような制裁も認めれれるといった性質のものではありません。
セクハラについてのみならず、就業規則等については常に企業の実態に沿ったかつ細心の法令に基づき整備する必要があります。
見直し等も含めた定期メンテナンスをお勧め致します。
弊センターでは、簡易チェックから全体の見直しまで、ご要望に応じた対応が可能です。
お気軽にご相談ください。
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Q7 職場でのパワハラの弊害はどのようなものですか?
メンタルヘルスの問題や職場風土を悪くするということが挙げられます。
これまでは、職場でメンタルヘルスの問題が起きるのは、個々人が持つ気質に多くの原因があるとされていました。
しかし、必要以上に叱責されることが続けば、誰でも病気になる可能性がありますし、万が一、部下が病気になれば、責任を問われるのは上司あるいは会社です。
最近では、訴訟に発展することも珍しくなく、労災として認定されるケースもあります。ここまでくると、会社の責任問題になります。
以上のように、パワハラによってもたらされる企業のリスクは計り知れません。
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Q8 パワハラの自覚がない場合の対処法は?
仕事に対して積極的であり、まじめ、そして熱心な上司は知らず知らずのうちにパワハラに該当する行為を行っている可能性があります。
また、パワハラという言葉の広がりから、本来はパワハラでない行動に対しても敏感に反応するようになりました。
パワハラもセクハラと同様に個々事案ごとに検討することが必要です。
弊センターでは、
○部下を教育するのに場所は関係ない
○仕事ができない部下を指導することが多い
○自分の意見を言えない部下が多く感じる
○仕事後は部下をよく食事に誘ったり、気安く話しかけている
などいくつかの項目についてのチェックリストを作成しております。
概ね20前後の項目についてチェックを行うことにより、客観的にパワハラかどうかについて判断を行うことが可能です。
自覚のない者については、客観的な内容に基づいた提案が必要でしょう。
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Q9 パワハラだと言われずに上手くやっていくコツはありますか?
自分の通ってきた道を、部下も通るとは限りません。
職場には様々な人間がいます。同じ人間ではありませんから、当然、自分には合っていても部下に合うとは限りません。
ティーチングではなくコーチングが必要です。
部下の本音はそう簡単に聞き出せませんので、言葉以外の部分から、何を感じ、どう考えているかを把握する必要があります。
また、やるべきことをやらず、自己主張ばかりが目立つ部下も多くいるでしょう。
このタイプは、自分の存在を認めて欲しいという願望を強く抱いている傾向にあります。
したがって、認めるべきところはきちんと認め、その上で指導・教育を行う必要があります。
個人の人権を尊重し、丁寧な関わり合いを保つことが、パワハラを防ぐ一番のポイントでしょう。
弊センターでは、コーチングガイドを無料進呈致しております。
ご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
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Q10 相談したいのですが、女性スタッフや個室での対応は可能ですか?
ご安心ください。
弊センターでは、経験豊富な女性スタッフによる対応が可能です。
個室対応ですので、話しにくい内容についても、リラックスしてご相談いただけます。
また、法律専門職には守秘義務が法律上課されておりますので、ご相談内容を他にもらすことはございません。
ご相談のみの場合でも同様に、個人情報と共に適切に管理致します。
詳細は、当サイトトップページの【プライバシーポリシー】をご覧ください。
お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
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